うちのお姉ちゃんの誕生の話
ちっちゃい心の葛藤

←9年前 現在→

息子が生まれて１ヶ月ちょっとの間、引き続き、実家で過ごしました。

３歳になったばかりの娘は、沐浴のたびに手伝うと手を出し、自分の服をびちゃびちゃにしては私を困らせてくれました。

自分の弟と言う生きたお人形が手に入ったと言う感覚だったのでしょうね、世話を焼きたくて、はしゃいでいました。

でも、段々私が弟に掛かりきりなのに不満を覚え始めてきたのです。

何かにつけて駄々をこね、私や母を困らせ始めました。

出来るだけ、娘の相手をしてあげたいと言う気持ちもありましたが、

息子は完全母乳で、ミルクは一切受け付けなかったので、それもなかなか難しいのでした。

自宅に帰る日が近づいてきてから、その傾向はますます強くなりました。

帰る日を延ばしたいと思っても、娘の３歳児検診があったので、それも出来なかったのです。

実は、娘の検診は本来なら前の月が該当していた物を、１ヶ月延ばしていたのです。

それ以上、延ばすわけには行かないというのも、私を焦らせました。

母が家にいるときはまだ、良かった。

用事があって出かけたとき、眠くなった娘がぐずって泣き始め、その声で起きた息子にも泣かれ…。

どうする事も出来ないようなわがままを言う娘に、

私もどうしていいか、解からなくなり、泣いてしまった事がありました。

３人で泣いている所に帰ってきた母の驚いた顔は、今でも忘れる事が出来ません。

本当にこれでうちに帰る事が出来るの？？？

主人の帰りは遅いので、当てにする事は出来ないのです。

私１人で、２人の子供の面倒を見ることが出来るのか、それも不安なのに…。

こんな風にわがままを言われたら、私はどうすればいいの？？？

やっぱり、毎日３人で泣く事になるのかもね。

息子は、２人目の余裕と、男の子であると言う事で、ものすごく可愛く思えました。

だからこそ、いっぱい手を掛けたい！！

娘だって確かに可愛いです、でも、もうちょっと我慢してくれてもいいのに…って思ってしまう自分がいます。

そんな気持ちが、きっと、娘に伝わっていたのでしょうね。

救いだったのは、娘にとっても弟はとても可愛い存在であった事。

もちろん、手をあげるような事はありませんでした。

娘があまりにも訳のわからないことを言った時、

「じゃ、しゅうはばあちゃんにあげて、せりなとお母さんだけおうちに帰ろうか。」

半分自棄になって言った私の言葉に、

「だめ！！しゅうはあげないの！！」

と、泣きながら私を責める娘を思わず抱きしめた事もありました。

自分が甘えたい気持ちと、小さい弟が可愛い気持ち…両方がぶつかり合い、どうしていいのか解からなくなっていたのでしょう。

３歳のちっちゃい心の中で色んな葛藤があったことだろうとその頃の娘がとてもいとおしく思えてなりません。

そんな事の繰り返しで、何の進歩もないまま、自宅に帰る日はやってきました。

私がしっかりしなきゃ！！と、自分を励まし、２人の我が子と共に半年振りの自宅へ。

不安ばかりの中、始まった生活でしたが、時間は待ってはくれません。

とにかく、日々の家事をこなし、子供の世話に明け暮れて、何日かが過ぎていました。

ところが１番心配だった娘の態度が、気付いてみたら落ち着いていたのです。

どうしようもないわがままを言う事はあまりなくなっていました。

きっと、今までいてくれたばあちゃんがいないんだと言う事に気付いてくれたんだと思います。

ものすごく我慢をしていたんだと思います。

私にとっては、嬉しい驚きでした。

どうしようもなくなったら母に助けてもらおう！そこまで考えた上での帰宅でしたから。

それなのに…３人で泣く事はなくて済みました。

とはいえ、まだ３歳の子供です、聞き分けのないことも沢山ありました。

でも、実家にいた頃よく言っていた言葉…

「しゅうは、ばあちゃんが抱っこすればいいでしょ！お母さんはせりなを抱っこしてよ。」

この言葉をうちに帰ってから聞くことはありませんでした。

主人が家にいるときは、私ではなく主人にくっついていきました。

それまでは、決してお父さんっ子ではなかったのに…。

そんな、ちょっとした変化が、嬉しくて、そして、切なかった。


今では、弟の宿題の見直しまでしてくれるおせっかいなほど頼もしいおねえちゃん。

これまで、ずっと、我慢させる事の方が多かったと母は反省しています。

辛い思いもいっぱいしたでしょうね。

でも、弟を可愛がる気持ちをいっぱい、持っていてくれたからこそ、本当にいいおねえちゃんが誕生したのだと思います。

今年、娘は１０歳になります。

そして、新しい兄弟を迎える子供達。

娘は最初からいいおねえちゃん振りを発揮してくれる事でしょう。

そして、そういう姉を持った息子もまた、いいおにいちゃんになってくれるだろうと…（？）

そんな子供達の成長がとても楽しみです。